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夫はいつも 朝早くに家を出る。 その時間帯だと まだあたりは薄暗いままだ。 車庫から車で出ていくその姿を見送る。 今日1日 どうか無事でという想いを込めてその後ろ姿を見送る。 車の姿も小さくなって見えなくなり、 家の中に入ろうとするときに ふと西の空を見上げた。 ・・・・有明の月だ。 夜中に見上げる月とは また違った趣だ。 神秘的な雰囲気はすっかり抜けて 長い夢からさめたような そんな表情をしている。 ・・・こんな月を見上げながら 昔の女性達も 愛する人を見送ったのだろうか。 その人が今日帰っていってしまったなら 今度はいつ逢えるか分からない。 だってこの家は その男性にとって「帰ってくるべき我が家」ではなく あくまでも通ってくるところでしかないのだから。 その雅な世界とは裏腹に 一体どれほどの愛憎が繰り広げられたのかと思う。 本当はそんなこと想像したくもないのだけど でも・・・それが現実だったのだと思う。 夕方になると その人が来てくださるのではないかと気もそぞろになり 使いの者が今日は来れない旨を伝えてくれば 胸の何処かがちくりと痛む。 現代のように 夫が「ただいま」と笑顔で帰ってきて 「ご飯?それともお風呂に?」などと そんな言葉を交わせるような世界ではなかったのだ。 辛かっただろうなと思う。 ただ その人の来訪を待ちわびるだけだった。 その人は「ただいま」と帰ってくる人ではなく、 「ではまた」と言って どこへともなく帰りゆく人。 御簾が風に揺れるたびその人が来てくれたのかと胸を躍らせ 衣擦れの音がする度に その人ではないかと耳を澄ませ ただただ待つしかなかった その時代の女性達。 どんな想いで 愛する人の後ろ姿を見送ったのだろう。 わたる風 秋には露に 冬には霜に覆われる庭の土 まだ明けやらぬ空の色 帰っていく その人の背中越しには 有明の月。 clef
by miyamagakure
| 2007-07-21 23:17
| 日々の徒然
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