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「千と千尋の神隠し」 数年前の映画ですね。 今、娘が夢中になっているんです。毎日観ている。 何か心惹かれるものがあるのでしょうね。 ストーリーも面白いと思いますし、なにより色彩がきれいだと思うのです。 使われている「赤」にしましても絵の具べったりのそれではなく 深い「朱」もしくは「緋」を感じます。 「カオナシ」にしましても あれはただの不気味な存在としてだけ、捉えてはいけないと思います。 彼は自己というものを持っていない。 あるのは、己をつき動かす欲望だけでしょうか。 誰しも持っている 弱い、暗い部分だと思うのです。 従業員達が寝泊まりする部屋。 あの部分を観て何だか懐かしいなと思いました。 幼い頃、本家に遊びに行き 奥の部屋の布団部屋を見たときの印象と同じものを感じたのです。 一族の者が集まったときのためにたくさんのお布団が積まれていたのですが やはりちょっと部屋の中は薄暗いのですね。 その中で お布団の鮮やかな でもちょっと色あせた緋の色 群青色 鈍色・・。 その部屋の雰囲気を 千尋の映画を観たときにふと思い起こしました。 「沼の底」にある「銭婆」の家。 何だかほっとする造りですよね。 あの画像を見ますと何だかいいなあ・・・って思うんです。 きちんとした生活。手作りの良さ。 素敵な嗜みです。 この映画の中で好きなのは 何と言っても主題歌の歌詞。 あの歌詞をお書きになった覚和歌子さん。 本当に素晴らしいと思う。 いろんなメッセージが含まれていますよね。 「生きている不思議」 「死んでいく不思議」 この部分が好きなんです。 言われてみたら本当にそうだな・・・と思う。 生きていることに対する不思議は感じてはいたのだけれど 同じように 死んでいくことも不思議なことなのだな・・と。 生きていく上で最も考えていかなければならないことは 生老病死のことだと思うんです。 逆に このことに対して自分なりの考えをまとめ上げることができれば こんなに強いことはないのではないかと。 怖いから 本当は目を背けていたい。 けれど それでは 価値ある人生を生きていくことはできないのではないかと思いました。 私は仏教徒ではありますが浄土の存在を信じていないんです。 浄土で幸せになるよりは 生きているうちにこの世で幸せになりたい。 この世で幸せになれない者が どうして他の場所で幸せになれるのかと思う。 生きている今の自分も自分だし 死んだ自分も、やはり自分のままだと思う。 であるならば 死んでから幸せになろうというのは逃避でしかない。 生きているうちに幸せになり 死んでゆくときにも「ああ、よい人生だった」と満足し 死んでからも「ゆっくり死んでなどいられないから ばりばり生きよう!」と またこの世に生まれ出たいと思う。 死は忌み嫌うものではなく 次の新たな生への出発点だと思っている。 もしも現世において短命で終わるようなことがあったとしても 次にこの世に生まれ出てきたときには 頑丈な身体を持ち 長命で 元気に自分の人生を生きていたい。 死は確かに怖ろしいものではあるけれど できれば考えたくはないことだけれど 「死」もまた 次の新しい人生で より活躍できるようになるための方便なのかもしれないと思う。 次の生への助走というか 準備期間と言うべきか。 何度生まれ変わっても よりよく生きていたい。 自分の生を そして自身の死をも 天からの贈り物だと思って。 noion
by miyamagakure
| 2007-10-01 08:46
| 日々の徒然
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